神の望むもの、望まざるもの

私たちの生活レベルは技術革新によって以前と比較できないほど向上し、便利になりました。しかしその反面、公害や環境破壊、地球温暖化など様々な問題も引き起こしています。時に自然は異常気象などの猛威をふるい、人間たちに襲いかかります。

【塔】はバベルの塔をモチーフに描かれています。

昔むかし、人々が同じ言葉で話していた時代、人間たちは散り散りになることを恐れ、神に近づこうと高い塔を作りました。しかしそれを神は許さず、塔を破壊し、人間の言葉を混乱させました。以来人間たちは多数の言語で話すようになりました。

石の替わりにれんがを、しっくいの替わりにアスファルトを用いて塔は造られました。人間たちは最先端の技術を手に入れたので、神に近づけると思ったのです。しかし神は人間の傲り、傲慢を許しませんでした。

個人のレベルでも同様です。自分の努力、発想力などにより私たちは日々進化しています。しかしそこに傲りや傲慢さがあれば、自分の地位はたちまち失墜してしまうことを【塔】は教えてくれます。

絵の解説

山頂に建てられた塔に落雷があり、ふたりの人間が真っ逆さまに墜落しています。

山頂にたどり着いたあなたは、さらに天に昇ろうと高い塔を建てました。
あなたが建てた塔はレンガ造りではありません。
あなたは何も積み重ねることなく、ただ傲慢さ、驕りによって塔を建てました。
しかし落雷によりあなたの欲した王冠(名声、金、肩書き)は吹き飛んでしまいました。

真っ逆さまに墜落しているのですが、あなたはまだ王冠を着けています。
あなたの仲間はスーパーマンのような赤いマントを着け、自分は飛んでいけるんだと過信しています。
しかし赤いマントを身に着けて飛ぶことができるのは魔術師だけです。

落雷で塔が破壊されていますが、雨は降っていません。
そして神の光(ヘブライ語のヨッド)が降り注いでいます。
この落雷は自然現象ではなく神が下したものです。
破壊は突然訪れましたが、自然現象ではないのなら、必ず避ける道があったはずです。

あなたは山頂にたどり着いた段階で次に何をしなければならないのか、本当は分かっていたはずです。
王冠にこだわってはなりません。【魔術師】のように、みなに必要とされるヒーローにならなくてはなりません。
【隠者】のように、自分と同じ道を歩もうとチャレンジしている若者を導かなければなりません。

正位置 : 日常生活の見直しを!

現状の見直し、改善が必要です。今すぐ徹底的に変えなければなりません。
このままでは自分が思っている以上に悪い、最悪の事態に陥ります。
思い上がってはなりません。傲慢さ、驕りがあれば必ず破綻します。
古いものは全て捨て、再構築すべき時です。
本当にしなければならないことは別のことです。今すぐ取り組んでいることを止め、本来の自分がすべきことに戻りましょう。

逆位置 : 全てを無にする必要性があります

変化は突然起こります。一刻も早く自分を見つめ直すことです。
全てを無にすることです。中途半端では悪化していく一方です。