魔術師

ヒーローになるために必要なもの、心構え

マジシャンは大がかりな道具や手の込んだ仕掛けで、私たちに数々の驚きや楽しみを提供してくれます。しかしタロットは魔法のカードですから、ここに描かれている若者が繰り出す数々の驚きに仕掛けはありません。

1はスタートを表します。【愚者】が左に向かう0番のカードなら、【魔術師】は本当の自分のスタートです。私たちの舞台の開演は、誰かに与えられたものではなく、自分の自由意志に沿ったスタートでなければなりません。

しかし魔術師は観客がいなければ魔術をしません。【魔術師】は自分の舞台を自信を持って開演すれば、必ず人々の喜びや楽しみにつながることを教えてくれます。

マルセイユ版では【奇術師】と表記されます。ウエイト版の【魔術師】は手品師ではなく、仕掛けも騙しもなく、魔法、魔術を操る人として端正な若者が登場します。

絵の解説

白のローブ、赤のマントにつつまれた【魔術師】が堂々と自分の舞台を開演しようとしています。

右手に魔法の杖(棒)を掲げ、左手で大地を指しているポーズは、お釈迦さまが生まれた時に七歩歩いて「天上天下唯我独尊」と言った時のポーズです。
あなたは舞台の幕が上がった時に、そのポーズで堂々とみんなの前に登場しました。

あなたの頭上には無限大のマークが輝き、腰のベルトのウロボロスと合わせて、あらゆるものを創り出せる力があることを証明しています。
テーブルの上に「棒」「聖杯」「剣」「金貨」がひとつずつ置かれています。
舞台が始まると、あなたは小アルカナの数札同様にどんどんその数を増やしていきます。

しかしあなたは自分の才能を自己満足のためには使っていません。
あなたはエンターテイナーとして笑いや驚きをみんなに提供しますし、
魔術師として、みんなが必要なスートを必要なだけ生み出してくれるのです。

あなたは赤い薔薇と白い百合に囲まれ、テレビに映るヒーローみたいです。
でも、先輩たちと同じ手品をしていたのではヒーローにはなれません。
役に立たないものをいくら生み出してもヒーローとは呼ばれません。
あなたは先輩たちにはないオリジナリティの富んだ手品でみんなを魅了するのです。

あなたの創り出すものはみんなを常に新しい刺激にさらし続けます。
そして新鮮でありながら、みんなが本当に必要なものを創り出すのです。

正位置 : 自信を持って自分の舞台を開演しましょう

何の小細工も仕掛けも必要ありません。堂々と自信を持って自分の舞台を開演させましょう。
能力、独創性、やる気があり、無限の可能性があります。
今していることは自分だけのためではなく、必ずみんなの役にも立ちます。
彼は恋の魔法使い。あなたを変えてくれます。

逆位置 : 技術を磨いて自信をつけましょう

自信が持てていません。自信がないのでスタートを切れません。
自信を持てるまで技術習得に励みましょう。
オリジナリティに欠けます。自分にしかできない何かを身につけましょう。
甘い話にのらないように気をつけましょう。詐欺師に要注意です。