悪魔

立ち向かうべきもうひとつの心

現状を変えるのは面倒くさいものです。改革だ! 刷新だ! イノベーションだ! 頭では分かっていても、やり方を変えるのは大変です。新しいことを学ぶのも面倒ですし、身体に染みついたやり方は楽チンです。どんなに窮地に陥っていても、どんなに生産性が悪くても、やってさえいれば「やっている」という気にはなれます。

思考を必要としない生活は楽チンです。今していることが良かろが悪かろうが、同じことを継続していれば楽です。しかしずっと楽でいたら、自分のあるべき姿を見失ってしまいます。

同じことを継続していても、同じものを得られるとは限りません。同じことの継続では、今よりも確実に悪くなっていくのです。そして、気づいた時には既に手遅れになっているかもしれません。新しい発想を持ち、現状を打破する強い意志と行動力が必要です。

【悪魔】は惰性に流されている自分への警告です。

絵の解説

上半身が人間、下半身が獣、顔は山羊、頭に逆五芒星(金貨の逆位置)、コウモリの羽根を持つ悪魔と、鎖につながれた裸の男女がいます。

鎖に縛られたあなたたちふたりの頭には角が、お尻にはしっぽが生えてきてしまっています。
このままここに留まっていたら、あなたは悪魔に変わってしまいます。
角が成長してしまったら、もう鎖を外すことはできません。
しかし鎖は頭のところがとても緩やかで、今ならスルリと抜けそうです。

悪魔の羽根はコウモリの羽根で、ウエイト版で唯一白色の羽根です。
コウモリが動物と鳥の両方の特徴を巧みに活用し災いを逃れたように、ダメだと思っても自分の持っている能力を柔軟に活用し、思いこみを排除すれば窮地から逃れることができます。
白の羽根、鎖の緩やかさで悪魔はあなたたちふたりを試しているのです。
決断は早い方が良さそうです。

悪魔は物質欲、名誉欲、性欲など様々な欲にまみれています。
それらはもしかしたらあなた自身の欲望かもしれません。


悪魔の構図は【恋人たち】によく似ていますが、ふたりの視線が違います。
【恋人たち】の彼はあなたを見つめていましたが、【悪魔】ではうつろな表情で「もうどうせダメだよ」とあきらめています。しかし、あなたは凛とした姿で正面を向いています。あなたはつながれていることに気づいていないのです。
ふたりが悪魔から逃れるための手段はあなたが握っているのです。

【恋人たち】が恋愛の始まりなら【悪魔】は恋愛のあり方を変える時です。
【恋人たち】の天使は赤い羽根で情熱的に進むように教えてくれました。【悪魔】は白い羽根で最初(白無垢の状態)に戻ることを教えています。彼が悪魔でなく、あなたに縛られていると思ってしまっていなければよいのですが、、、

【司祭長】ではあなたは司祭に向かい、純粋に説教を聞いていました。神の領域にいつか行くことを切望していました。【悪魔】でのあなたは悪魔の方を向いていません。暗黒の闇に背を向けています。まだ悪魔から逃れるための手段があるのです。

【戦車】で若者は黒白二頭のスフィンクスを見えない手綱で従えていました。【悪魔】は能動的に束縛をしていません。あなたは台座につながれているだけです。

正位置 : 自分にカツを!

欲に支配されています。当初の自分の目的を思い出す必要があります。
自堕落な生活を一新しないと取り返しがつかなくなります。
視野が狭くなっているのであきらめています。
恋愛、セックスに溺れています。
惰性で生きています。その方が楽だからです。
悪いものを見ようとしていません。そこを見ると恐いからです。しかしそれを見なくては現状認識はできません。

逆位置 : そろそろ正気に戻りましょう

必ずどこかに抜け出すチャンスがあります。それを見つけるのは自分の役割です。
そろそろ正気に戻りましょう。腐れ縁も断ち切るときです。どこかで現状打破の思い切った行動をしなければなりません。
もう、何がダメでどうすればよいのか自分では分かっています。それを行動に移すだけです。その行動を早く起こさないと取り返しがつかなくなります。